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の2箇所である(踊り場が狭い場合、留意を要する)。
2)誘導ブロック分岐点の使用例は、「規制情報」として位置づけるのではなく、「誘導情報」の応用バージョンとして考えて、形状などの表現方法を再検討する必要がある。
3)誘導ルート端部の使用例も、上記と同様に考えられる。
4)券売機前など諸設備前の使用例は、誘導ブロック敷設ルートの設定方法との関係から、再検討する必要がある。
5)階段上り口・下り口の警告ブロックは、階段踏面位置との距離的な関係や帯巾など、鉄道駅に共通する統一的な基準を定めた方がリズムをとりやすく使いやすいと思われる。
6)ホーム縁辺部の警告ブロックは、これによって相対的にホーム上の安全域が明示されなければならない。
従来から利用者一般を対象としてホーム縁辺部には安全限界を示す白線があった。また最も軌道寄りの80cm程度の範囲にノン・スリップタイルが施されている。白線の内側に警告ブロックをつけ加えるだけでは利用者全般にとって好ましい状況にはなりにくく、総合的な整合が必要である。ホーム縁辺部の警告ブロックの敷設方法やその範囲は、線的表現か面的表現かの議論も含めて、根本的な検討が求められる課題である。

 

9. 敷設ブロックの色彩
1)誘導ブロックは弱視者が移動するうえで重要な手掛かりとなっており、黄色の誘導・警告ブロックを敷設して欲しいとの要望は強いものがある。
2)すでに多くの駅で、誘導ブロック・警告ブロック共に「黄色」が用いられ、運輸省もガイドラインにおいて「原則黄色」との指導を行っている。
3)駅に隣接する商業施設では、敷設ブロックの使用例そのものが少なく、黄色を用いている例はほとんどみられない。
4)ターミナル駅の誘導ブロックと警告ブロックは、表現している情報意味が異なるから、色彩においても差異を考えることが可能である。
5)「黄色」という色彩を考える場合、次の点に留意する必要がある。
a.「黄色」は、JISの安全色彩使用通則(Z9101)で定められ、国際的にもISOによって基準化されている「注意・警告色」である
b.「黄色」は、「赤」と並び有彩色の中で純色の彩度が最も高い色彩で、目立つかわりに視覚的なノイズにもなりやすい性質がある。
c.現状の多くの駅で、利用者一般を対象としたビジュアル・サインにおいて「黄色」は出口を示す色彩コードとして用いられ、年月を経て定着している。
d.ブロックの敷設される床面は、空間を構成する基本的な部位であり、その部位に連続的に施される色彩は利用者全般のアメニティに大きな影響を与える。
6)利用者全般のアメニティを確保しつつ、弱視者にとって有効なブロックとなるよう、今後とも研究が必要と考えられる。

 

 

 

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